AI(人工知能)を学びたくて、AIを学べるスクールを探している人も多いと思います。しかし、数多くあるスクールの中から自分にあったスクールを見つけるのは大変なもの。
本記事では、数あるAIスクールの中から「キカガク」について、卒業生であるM氏にインタビューを行いました。彼が「キカガク」で体験した内容をご紹介したいと思います。
新卒で化学製品メーカーに就職。30代前半まで働き、主に製品のデータ分析などに従事。データ分析とはいえ、専用機器と専用ソフトウェアを使っておりPythonやRなどの言語は使用せず。また、大学でも化学/生物系を専攻していたので、プログラミングについては未経験。数理系も苦手分野。
それでは、早速内容を見ていきましょう。(以下、語り手はM氏主体になります。オオカミ先輩の声は編集部が記載)
目次
機械学習に興味を持ったきっかけ
製品のデータ分析などを行う過程で、自分自身のデータ分析業務を効率化できないかという想いから、機械学習に興味を持つようになりました。これから先、様々な業種で機械学習が活用されていくので、勉強したいと考えるようになったことがきっかけです。
とはいえ、プログラミング未経験で数理系の大学でもなかった為、機械学習は高いハードルでした。そんな時に「キカガク」のようなサービスが出てきたので、自分でもやっていけるのではないかと考えるようになりました。
「キカガク」の受講を決めた理由
「キカガク」の長期セミナーを受講しましたが、私が受講を決めた理由は以下の4点です。
- 講義がわかりやすい
- 通学コースで集中して取り組むことができる
- 理論だけでなく、実際に機械学習を自社システムへ組み込んだり、サービスとしてリリースするまでの一連の流れを学べる
- 機械学習を学ぶ人同士の繋がりが得られる
もともと「キカガク」のセミナーが手書きでわかりやすいと定評があり、最初は「システム自動化セミナー」という短期セミナーを受講しました。受講した短期セミナーも非常に良かったのですが、通学形式の方が自分には合っているなと思っていた矢先、長期コースを紹介していただきました。機械学習を学ぶのに必要なスキルを一貫して学べるのが良いと感じ、受講に至りました。
ここからは「キカガク」の詳細について見ていきます。
「キカガク」の基本情報
運営会社
- 企業名
株式会社キカガク - 所在地
<本社オフィス> 〒101-0047 東京都千代田区内神田3丁目2-9 SPビル6階 - 事業概要
機械学習の教育およびコンサルティング
株式会社キカガクは2017年設立の若い会社。AI・機械学習をメインに、教育・コンサルティングなどの事業を展開しています。
場所
- オフィス
〒101-0047 東京都千代田区内神田3丁目2-9 SPビル6階
オフィス、教室はともに東京の神田にあります。神田から徒歩5分度のところにあり、比較的通いやすい場所になります。
開催時期
- 開始:5月コースと11月コース
終了:開始月から6ヶ月後
締め切り:開催月の前々月末頃まで(定員の空き状況、入金確認などは注意)
※詳しい日程は「キカガク」の公式ページをご参照ください。
コース
コースについては、以下の2つが用意されています。
「短期セミナー」
「短期セミナー」は、特定の分野に焦点を当てた1〜3日間のセミナーです。これまでに1300名以上の受講生がおり、オンライン提供している「Udemy」の講座では5200名以上の受講生を排出しているセミナーになります。
期間の短いコースにはなりますが、特定の分野に絞ることで効率良く学習することが可能。「短期セミナー」を受講後に「長期セミナー」に入られる方も多いので、内容を知る上でも「短期セミナー」を受講してみるとうのはアリかもしれません。
「長期セミナー」
課題設定の切り分けからシステム運用までを一貫して、セミナー終了後には自走できるAI人材の排出を目的にした「長期セミナー」。6ヶ月の学習期間内にインプットとアウトプットをバランス良く行うことで、AI人材の育成を図っています。
「長期セミナー」は、キカガクが独自に作成した教材に基づいて進めていきます。大きく分けて、基礎編・応用編・実践編・自走編があり、基礎編と応用編は幅広い知識を詰め込んでいる為、プログラミング初心者にはかなりボリューミーな内容になりますが、ここを乗り越えると様々なアプリケーションを作ることができるようになっていきます。
- 機械学習の基礎
- 深層学習の基礎
- Webスクレイピング
- アプリ作成①
- 環境構築
- サーバー連携
- 深層学習の応用
- アプリ作成②
- 画像分類アプリ開発(機能の洗い出し、ワイヤーフレーム、データ収集、ラベル付け、モデル構築、Webアプリ)
- オリジナルアプリ開発(企画、データ収集、モデル構築、アプリ作成)
自走できるAI人材の排出が目的である当スクールですので、オリジナルアプリ開発の為のインプット3ヶ月と実践でのアウトプット3ヶ月の前半・後半に分かれているのが特徴。基礎から実践まで一貫して行うので、密度の濃い学習期間になります。
カリキュラム
基礎編
この期間では機械学習とWebアプリケーションの基礎を学びます。
まず、Pythonの学習から初めて、scikit-learnという機械学習のライブラリーで様々なモデルの使い方を学びます。この時、Numpyの使い方も練習します。このように理論というよりもライブラリーをどう活用するか、というところに重点を置いています。
次に、機械学習に必要なデータを収集するために、Webスクレイピングでのデータ収集と前処理を行います。前処理に使うPandasというライブラリーはPythonによるデータ分析の際に欠かせないライブラリーであり、エクセルよりも複雑なデータ解析をすることができます。
さらに、この期間ではFlask、HTML、CSS、JavaScriptで簡単なウェブアプリケーションの作成まで行います。はじめてプログラミングを学ぶ人にはかなり大変な期間になりますが、
キカガクでは理論を教える際に「手書きの授業」を行います。機械学習のすべての理論を扱うわけではないのですが、基本的な理論については実際に数式を紙に書いて学んでいきます。このスタイルこそがキカガクの特徴の1つです。
なお、キカガクでは1人の講師が講義を進めていくのですが、サポート役の1人も待機しており、途中で詰まることがあれば、その人が個別に対応してくれます。また各週ごとに課題もあり、それに取り組むことで理解を深めることができます。ただ、Slack等での質問は受け付けていませんので、当日の講義終了後や、次回の講義開始前等に質問することになります。
- scikit-learn:Pythonのオープンソース機械学習ライブラリです。サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、k近傍法などを含む主要な分類、回帰、クラスタリングのアルゴリズムを備えています。
- Numpy:Pythonのライブラリーで多次元の行列演算を効率的に行うことができます。今後、どのような機械学習のアルゴリズムを使う場合にも必要になってきます。
- Pandas:Pythonにおいてデータ解析する際に使用するライブラリーです。Pandasとても高機能でmatplotlibやSeabornなどのグラフ描画ライブラリーと合わせて使うと、容易にデータを視覚化することができます。
- Chainer:ニューラルネットワークによる学習を行うためのオープンソースソフトウェアライブラリです。日本のPreferred Networksが開発しました。
深層学習は機械学習の手法の1つです。その為、他の機械学習のアルゴリズムと同じように回帰や分類の問題を解くことができます。
応用編
この期間では、Dockerを使った開発環境の構築やFlaskとNginxを使ったAPIサーバーの作成など、このあとの期間での機械学習システムを作っていく上で必要な知識を身につけていきます。またApacheSparkを使った巨大データの分析も練習します。
さらに、Chainerを使って深層学習を学び始めます。ここで画像認識、時系列予測、自然言語解析といったタスクを深層学習で解いていきます。
データの訓練などがたいへんんかお転移学習やMicroSoftが提供するAzure Machine Learningなどを使った機械学習も学びます。深層学習はGPUでないと時間がかかりすぎるので、Google ColaboratoryやAzureなどクラウド環境のGPUを利用していきます。
- Docker:Dockerは、コンテナと呼ばれるOSレベルの仮想化環境を提供するオープンソースソフトウェア。
- ApacheSpark:Apache Sparkは巨大なデータに対して高速に分散処理を行うオープンソースのフレームワークです。
- Google Colaboratory:クラウドで実行されるJupyterノートブック環境です。Kera、Pytorch、Chainerなどの代表的な深層学習フレームワークの環境がすでに整っており、GPUを無料で最大12時間まで使うことができる。
- 転移学習:あるデータセットで学習させたモデルを、別のデータに適応させる技術です。これにより、少ないデータしかないモデル構築をすることができます。
- Azure:マイクロソフトのクラウド プラットフォーム です。従量課金のサービスで様々な高性能なGPUも使用することができます。
- Azure Machine Learning:Microsoft Azureの機械学習サービスです。コーディングを行なうことなくドラッグ&ドロップで機械学習を行える点が特徴です。
実践編
この期間では、キカガクが用意したテーマに基づいて実際にWebアプリケーションを作っていきます。これまで講義で学んだ内容を活用して作っていきます。
私が受講していた第1期では、何人かのチームごとに別れて、各チームごとに異なるテーマのアプリケーションを作成しました。テーマは画像分類、文章要約、レコメンドアプリの3種類でした。それぞれ途中でわからないところがあれば、メンバー同士で調べたりしますし、講師に質問することができます。長期コースは講義スタイルなので、講義中に他の受講生との関わりはないのですが、この実践編では他の受講生との仲も深めることができるでしょう。
自走編
この期間では、自分で企画したアプリを開発していきます。実践編で学んだ流れに基づいて機械学習を使ったアプリを作成していきます。この期間は講義がありません。土日の教室が解放され、そこで開発を進めていきます。教室には講師が待機しており、質問することが可能です。ただし、最新の論文の成果についてなど、対応できない質問もあります。質問としては講義で教えた水準と考えてください。
日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供するエンジニア向け「E資格」の認定講座となっております。長期セミナーに加えて補講の動画を見ることでE資格を受験することが可能になります。
長期セミナーは説明会の参加が必須
「長期セミナー」については、開催月の前々月中旬頃に開催される「無料説明会」への参加が必須要件となっております。仮に受講をしない場合であっても、判断が難しい段階では説明会の参加をおすすめします。
説明会は定員10名前後と枠が少なく満席の場合も多いので、検討される場合はお早目にご予約を。
※5月期の説明会は3月に4回程、11月期は9月に4回程開催されます。その期間以外は基本的にはありませんので、ご注意ください。
入試の有無
「キカガク」では、受講するにあたっての入学試験に合格しなければなりません。その為、受講を決めたとしても、試験にパスしなければ受けることができませんので注意が必要です。
説明会当日にタイピングのテストがありますので、ご注意ください。難しいものではありませんが、日本語入力と英字入力の両方が問われます。(終わりの15分程で行います)
教材
オンライン教材になります。受講開始したあとに、URLとパスワードが発行され、閲覧することができるようになります。
この資料は受講が終わった後でも受講することができます。また、授業の時の動画も公開されるので、オンライン教材と合わせて復習に使うこともできます。
受講スタイル
受講スタイルについては、「対面形式」のみになり、1週間に1度オフィスでの講義を受けることになります。15人程度の受講生が集まり、講義資料をベースにして講義を進めていきます。途中でわからないところがあれば質問できますし、講義の前後にも実施することができます。
講義のある日以外での教室開放は行なっておらず、質問等は講義開催日中もしくは少し早目に教室に来て質問を行うのみになります。(オンラインでの質問には対応しておりません)
講師陣
講師陣は全員「キカガク」の研修を受けています。「キカガク」の強みの1つはわかりやすい授業にあります。
Udemyの人気講師の今西さんも元々、長期コースの講師でした。現在は別の方が担当していますが、わかりやすく伝える技術は受け継がれています。
詳しく知りたい方はこちら→「キカガク」公式ページ
価格
価格についてはこちら。
短期セミナー | 長期セミナー | |
入学金(税抜) | 0円 | 0円 |
コース別料金(税抜) | AIダイジェストコース:70,000円 アセスメント人材育成コース:200,000円 データサイエンス徹底演習:200,000円 ディープラーニングハンズオン: ①ハンズオンセミナープラン:200,000円 ②E資格取得プラン:300,000円 |
720,000円 |
受講期間 | AIダイジェストコース:1日間 アセスメント人材育成コース:3日間 データサイエンス徹底演習:3日間 ディープラーニングハンズオン:3日間 |
6ヶ月 |
総額(税抜) | 各コースに準ずる | 720,000円 |
返金保証 | 無 | 無 |
各種割引 | 無 | 無 |
各ステップ毎にかかる総額が異なってきますが、「長期セミナー」コースでの72万円が最大になります。ただし、その他のコースも併用して受ける場合はその限りではありませんので、ご注意ください。
ちなみに、各プログラミングスクール(機械学習ではない)の大凡の平均が10万円/月程度になりますので、AIの学習に特化しているという部分があるにしても、若干の割高感はあるかもしれません。(もちろん単純比較はできませんので、ご参考までに)
教育給付金支給の対象講座ですので、そちらのご確認もお忘れなく。(私は条件に合致せず対象外でした…)
受講後の感想
受講を終えて、キカガクの長期セミナーを受けて良かったと個人的に思っています。機械学習だけではなく、Webプログラミングの基礎も学べ、今後、自走していく時の土台を作ることができました。
最近では初心者向けの書籍も多く販売されていますが、独学よりもスクールで短期集中で学ぶ方が時間効率も良いと感じます。また、ディープラーニングE検定を受験したい人は、こちらのコースを受講することで受験要件も満たせるので、環境としてより良いのではないでしょうか。
人脈という点でも得るものはあります。長期セミナーには様々な業界の人が集まっていました。多種多様な業界の人と交流することで、自分の業界だけではなく、別の業界の人の抱える問題や、それに対してどのように機械学習を活用することができるかを考える良い機会になり、視野も広がりました。
もちろん、決して安い価格ではないですが、この期間で得られることはその価格以上のものがあると思います。
もう少しあれば良かったと感じる点
私が受講していて不足に感じた点は、「授業の前後以外の時間に質問対応があれば良かった」というところです。
週一なので復習の際にわからない点が出てきた場合、自分で調べるか、次の授業まで待つしかありません。特にプログラミング初心者にとって最初のインプット期間は機械学習以外にも覚える概念が多く、かなり大変ですので、その点のフォローはもう少し欲しかったなと感じます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はAIスクールの「キカガク」の卒業生であるM氏にお話を伺ってきました。
機械学習に興味を持ったきっかけや「キカガク」の受講理由、もう少しあれば良かったと感じる点など、卒業生ならではの視点でお話を聞いてきました。
もちろん、各々の受講の目的やスタイルに寄る部分もあると思いますので、本記事が少しでも「キカガク」を検討されている方の参考になれば幸いです。
私が入学しなかった理由につきましては、こちらをご参照↓
【無料説明会参加:AI編】「キカガク」に入学しなかった理由
2019.04.06