度々、ビジネスシーンで抽象度をあげる/さげるという言い回しを耳にします。普段はキャリアコンサルタントの一環として、書類添削や面接対策を行なっている編集者ですが、この抽象度の話はよく話題にあげています。
転職時に注意するだけではなく、新しい職場でも、この概念は大切にしていただきたいなと思うので、今日はこの抽象度についてここにまとめておこうと考えました。
目次
抽象度とは
抽象度とは抽象的が何を指しているかを考えるとイメージがわきやすいかなと思います。
②頭の中だけで考えていて、具体性に欠けるさま
抽象的とはより一般的だったり、より具体的ではないことを指しているようです。抽象度はこの「一般的」「具体的ではない」さまに度合いがあるという概念です。言葉では伝わりにくいかと思うので、図で示してみます。
抽象度が高い時、低い時それぞれの使い分け
抽象度が高い表現が好ましいとき
その1.
プロジェクトリーダーなどをしているときに見直し、改善を伝える場合などです。システムを作っている時に『ユーザーの視点から、●●のところが使いにくいので、××を〜に変更したい』と伝えるよりはまず『UIを変更したい』とざっくり伝えたあと、もっと詳細の説明に移行していく方がわかりやすく、伝わりやすくなります。抽象度が高いところから低いところへ話を移行させながら表現します。
その2.
個人と話をする場合ではなく、複数人と話す場合など、共通認識が異なっている可能性がある場合などです。まず、抽象度が高い表現を使用して、認識を合わせ、そこから抽象度を段々と下げていきます。
俯瞰して、広範囲をみて大枠を捉えることが必要な時こそ、抽象度が高い表現が好ましいようです。
抽象度が低い表現が好ましいとき
その1.
就活や転職活動での面接でお伝えする自己PRなどです。上記の図でいう抽象度の高いところ、『私はビジネススキルに長けています』と言われたところで『何の?』という疑問が生じ、かなり漠然としたイメージになってしまいます。そもそも、自分の強みをわかっていないのではないかという評価にもつながりかねません。こういった時は『私は傾聴力に長けています』などより抽象度が低いところの表現を使用するとわかりやすくなります。
その2.
後輩に何か注意や直して欲しいところを伝えたいときなどです。抽象度を高く設定した表現は齟齬が生まれやすいので、できる限り抽象度を下げて伝える工夫をすると、とても伝わりやすくなります。
主観的に、細部をみて本質や根本を捉えることが必要な時こそ、抽象度が低い表現が好ましいようです。
抽象度を理解すると訪れる変化
質問の意図がわかり適切な返答ができるようになる
極端な話『果物の中で何が好き?』という質問に対して『人参』と答えるような話です。話しているときに『今その話をしているのではない』『それを聞いているのではない』と言われてしまった経験はございませんか?
先ほどの図は3つの階層に別れていたかと思うのですが、『思考力』の階層で話すのか『論理的思考力/多面的思考力』の階層で話すのかよって、抽象度か変わってきます。この度合いを話す相手に揃えることによって相手が求める返答ができるようになるのです。
根本的な問題を抽出できるようになる
抽象度が低いところから問題を考える人の方が多いかなと思います。ですが、この抽象度の概念を理解すると、まずは全体的に俯瞰して物事を捉えるところから始めることができるようになります。フレームワークを使って問題を抽出するのに似ています。何が素となって問題が起きているのかは、細部から考えていても、根本的な解決になりません。その頭痛は本当に頭が痛いのか、本当は肩こりからきているのではないかと痛みの素を全身から探すようなイメージです。
問題の適切な解決法を導き出すことができるようになる
根本的な問題を抽出するのとは逆で、今度は抽象度が低いところから考えていきます。細部から見ることによって、解決法を数多く用意することができ、そこから適切な方法を選択することができます。抽象度が高いところから考えると、準備できる解決法は数少なく、そこから選択するとなると、漏れなどがある可能性が高くなります。ロジックツリーの考え方と似ています。
抽象度を意識すれば、本質がわかる
抽象度を意識することによって、問題はどこで起きているのか、その問題を解決する方法はどれなのか、またコミュニケーションであれば、相手がどの視点で何を伝えているのか、その応答は何が適切かということがわかってきます。この、シーンごとに適切なものがわかるようになるということこそ、本質がわかることに繋がっているのではないかと思います。
ビジネスにおいては本質を理解しているか理解していないかで、人間関係も変われば、評価も変わります。これまで意識してなかったなという方は、是非明日から意識してみてはいかがでしょう?
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